谷啓さんの話

クレージー・キャッツの谷啓さんがお亡くなりになった。
78歳。
旅立つにはまだ早すぎる。
谷さんとは1996年にとある番組のゲスト取材で長く話を聞かせていただいた。
印象に残っている話を書く。
東京オリンピックで三宅義信選手の重量挙げ金メダル獲得にいたく感動した谷さん、その次の日から白いランニングに着替え、手にメリケン粉をつけて黒電話の受話器をバーベルに見立てては受話器を上げたり下げたりワケの分からない特訓をしていたという。
数日経っても込み上げる感動は収まらず、
「よし、メキシコ五輪を目指そう」と思ったらしい。
そんな谷さんとの取材の最後、自宅から持参した本を差し出し、サインをお願いすると、
「こんな本よく持ってるねぇ。捨てちゃってよ」と、目をパチクリさせながらも快くサインを書いてくださった。
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その谷さんと1999年の10月にフジテレビで再会した。
谷啓&スーパーマーケットを率いて毎週『笑う犬の冒険』のオープニングを飾ってくれた。
スタジオでの空き時間、谷さんと何度か話す機会があった。
例のメキシコを目指した話を持ち出すと、
「あんときは本気だったからどうかしてたんだね。電話の受話器なんかで練習していた自分がバカみたい」と、目をパチクリさせながら笑われていた。
谷さんとコント番組でご一緒させていただいのはテレビのバラエティー番組に携わるものとしては大いなる誇りだ。
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96年にお会いしたときにいただいたサインと「クレージーキャッツ・テレビの黄金時代」は今も僕の大切な宝ものである。
一生捨てない。
谷啓さん、どうぞ安らかに。
9月12日 はれ

by inouexpo | 2010-09-12 23:59 | テレビ  

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